前回は「目標設定」について記載をしました。単年の計画を達成するためには、目標設定についてしっかりと考え、組織や人のレベルにも合わせながら部門ごとや人ごとなど細かく設定して落とし込んでいく必要もあります。そして、結果目標だけでなく行動目標も設定することも時には必要になります。
しかし、目標設定はそれを経営陣や営業マネージャーをはじめとする管理者が考えて決めでそれで終わり、ではありません。その目標設定を課されている当事者に伝え、その目標を達成してもらわなければいけません。
そこで、営業マネージャーをはじめとする管理者の次の重要な仕事である「目標共有」という仕事が発生します。
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1.目標を共有しないとどうなるか?
ここでは管理者が担当者と目標を共有しなかった場合に、何が起こるかを見ていきます。
1-1.改善策が不十分・・・
目標を設定して計画を立てます。そしてそれを実行していくのですが、なかなか思い通りにいくものではありません。
定期的に現状を認識し改善策や修正案を出し計画修正を行っていく必要があるのですが、最初の段階で目標共有が十分にできていないと、この進捗管理にかける力がとても弱くなります。
なぜなら、その担当者は自分に課されている目標を自らのものとして認識し、腹に落ちていないからです。どうすれば今の状況を打開できるのか?何としてもあきらめず達成しよう!このような自問や自らへの励ましが弱くなるため、うまくいかない時の改善策も不十分なものになりがちです。
この担当者は進捗管理ができないのではなく目標共有が不十分なのです。その段階まで立ち戻って立て直す必要があります。
1-2.それは私の仕事ではないです・・・
1-1.の状況はまだよいのですが、いよいよその目標設定の期限が迫ってきて「この目標の達成はできるのか?」と聞いてみると、目標共有が十分でない担当者は「それは私の仕事ではなく、○○さんの仕事です」「私はその仕事について十分に聞かされていません」ということを言ったりします。
営業マネージャーをはじめとする管理者は「なんと無責任な・・・」と思うのですが、これも目標共有不足が原因であることが大半です。この担当者が無責任なのではなく、その責任があることを十分に事前に共有できていないのです。
しかし、このような事態になってしまうと大概において取り返すことができません。こうならないように、事前に共有をする必要があります。
1-3.私はもともと難しいと思っていました・・・
1-2.と似ている事例ですが、目標共有が十分にできていない状態で達成不可能が見えてくると、「私はもともと難しいと思っていました・・・」などと発言する担当者もいます。
「それならば最初から言うべきではないか・・・」と管理者は思うのですが、これも大概においてそういった意見を言う場面も設けることなく、目標設定を課しているケースが多くあります。こういった事態を避けるために、「目標共有」のフェーズはとても大切です。いかに目標設定が正しくても、目標共有ができなければ目標はうまく機能しません。
2.目標共有の方法
目標共有の方法には以下の3つがあります。
2-1.目標を決めて伝える
経営陣や営業マネージャーをはじめとする管理者側で目標設定をしてそれを担当者に伝える方法です。担当者が意見を言う機会は設けません。
一見乱暴な方法にも思えますが、この方法が有効なケースとしては、担当者が経験が浅く自らの意見を言う材料や経験が十分にない場合はこの方法がよいでしょう。意見を求めても有効な意見を出すことができる素地がありません。
一方的に目標を伝えることになりますので、意見を言うだけの経験や知識がないとはいえ、十分に時間をとり目標達成を実現する計画と共に丁寧に説明をする必要があります。
2-2.目標を決めて意見を求める
経営陣や管理者が目標を設定し、担当者に対して、「来期はこの目標設定でいこうと思っているがどう思うか?」という方法です。
目標設定を組み立てる力や経験は無いけれども、組まれた目標に対しては意見を言える担当者に対してはこの方法を採用します。その場で意見を言わせるだけでなく、1度持ち帰らせて意見出しを宿題とさせることも良いでしょう。
数字そのものは自ら決めたものではないですが、それに対して意見を言う場は設けられたことで、その目標設定を自らのものとして認識できる可能性は高くなります。その出される意見のレベルによって、どれだけその目標を理解しているかを測ることも可能です。
2-3.目標設定から参加させる
経営者や管理者とほぼ同等の目標設定ができると判断できる担当者に、自ら目標設定を考え申告をしてもらう方法です。自ら申告する目標ですので、その目標設定に対する責任感は最も強く持ってもらうことができます。
しかし、気を付けなければいけないことは、経営者や管理者が想定する目標設定と本人の申告する目標設定に大きく開きがあると、結局は経営陣の決めた目標を課すことになるので逆効果にもなりかねません。あくまでも、経営陣や管理者と同等の考えができる担当者にのみ適用すべき方法です。
また、結果目標は伝え行動目標は自ら考え申告をしてもらう方法も有効です。あくまても結果目標は固定で、それに対する行動を決めさせることにより、日々の行動の責任感やイメージを持ってもらうことにもつながります。
2-4.目標を達成するための計画の青写真も合わせて伝える
目標設定でも何度か記載をしたことになりますが、どのような方法で目標を共有する際にも、目標の数値と共に計画の青写真を伝えることが重要です。目標設定はその数字だけでなく、「どのような感じで行えばこの目標が達成できるのか?」ということと合わせて伝達がされることにより、目標設定の妥当性も合わせて伝達をすることができます。
2-5.この目標を決めたのはあなたです
「目標共有」の目的はもちろん目標達成の確率を高めるためです。「目標はこれでいくぞ!」と言うとその場では「分かりました!」と威勢よく言う人は多くいます。しかし、「社長はああ言うけど実際には厳しいよな・・・」「とりあえず嫌だとは言えないから、OKしておくしかないよな・・・」と心の中では思っている人も多くいます。そして、目標共有ができていないことはその場では分からず、それができていないことが分かるのは半年後、ということも多くあります。しかし、その時点で目標共有ができないことが分かっても、大概において手遅れで取り返すことができません。「目標共有」はこのような状況を打破するための考え方です。
フルマラソンの35km地点にはこのようなプラカードがよく立っていると言います。35km地点という最も苦しい状況を迎えたランナーに対して、「申し込んだのはあなたです」というプラカードです。
目標達成がいよいよぎりぎりできるかできないかという時に、「自分で決めた目標だよね?」「そうです!頑張ります!」という会話が自然とできる状況を作ることが管理者が行うべき「目標共有」です。
3.まとめ
目標設定はとても難しい仕事です。そして、その目標設定を社内に浸透させ機能させるためにはこの目標共有のフェーズが欠かせません。多くの企業や組織が、この目標共有にも問題を抱えています。
今一度自らの組織の目標共有の方法に目を向けてみると、大きな改善点が見えてくるかもしれません。