営業マネージャーの仕事と役割の第2回目は、「経営戦略を立案する」です。第1回目は「経営者を理解する」という内容でした。経営者を理解する≒経営理念・ビジョン・ミッション・行動指針 を理解するということで、経営者の想いを理解することが、営業マネージャーをはじめとする管理者としての仕事の第1歩となります。
そして、その経営者の想いを具体的にどのようにして実現していくのか?その具体的な動き出しが「経営戦略の立案」となります。「経営戦略の立案」という仕事は当然経営者・経営陣が中心となって行う仕事なのですが、営業マネージャーをはじめとする管理者も積極的に関わっていくべき仕事となります。
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1.そもそも経営戦略とはどのようなものか?
まずは、経営戦略とはどのようなものなのかを記載していきます。
1-1.経営戦略の期間とは
まず、経営戦略はどのくらいの期間を想定したものなのでしょうか?それは、短くて3年から通常は5年程度の期間を見据えたものであると言えます。
営業マネージャーの仕事と役割の1回目では、「ビジョン」というものを取り上げましたが、ビジョンの想定期間は通常は10年程度です。ですので、10年かけて到達しようと考えている「ビジョン」という大目標に対して、その前半5年程度で、どういったことを行っていくのか?ということになります。
では、通常のビジネスの世界において、5年や10年という期間はどういった意味を持っているのでしょうか?
基本的な目標管理の概念から言うと、日々の行動というものは目標設定からの逆算であるべきとされます。ある期間で定めた目標に対して行動計画を立案し、その行動が日々や週間などでうまくいっているかを検証し、もしうまくいっていないのであれば修正や改善を行い、また行動をしていく。それを繰り返すことにより目標に到達するというものです。
しかし、5年という期間になると、5年後の目標に対して今日の1つ1つの行動を何をすべきなのか?ということまで明らかな因果関係をもって細かく立案することは難しく、また今日の行動に対する結果が5年後の目標に対してどれだけ進んだのか?ということも計測することはとても難しくなります。
なので、5年ましてや10年という期間は、現在の日々の行動の積み重ねでは表現ができず、自分でも予想していなかった方向性や結果が出ていたとしても全く不思議ではありません。現在の自分を5年前の自分が明確に想像をしていたのかというと、想い描いていたこともあるかもしれませんが、細かい1つ1つの行動までイメージしていたかというと、そうではないことが多いと思います。
ですので、5年や10年という期間は、現在の延長線上や積み上げで考えなければいけない理由はなく、やりたい、こうなっていたい、こうあるべきだ、だが具体的にどうするのかはあんまり分からないけど・・・という内容で組み立てられたとしても、OKであるということです。
1年では実現が難しいことも、5年続ければできるようになることもたくさんあります。特に営業マネージャーをはじめとする管理者が経営戦略を考える際には、日々の現実で起きていることを一旦忘れて考えることがとても重要です。
1-2.経営戦略の具体的な内容
経営戦略とはどういった内容で構成すればよいのでしょうか?それは、目標設定、重要成功要因(テーマ)、想定行動の3つです。
1-2-1.目標設定
経営戦略の目標設定は、5年後の目標設定となります。ビジョンを実現するための中間点ということもできます。
これも目標管理の概念からすると、目標設定というものもとても重要なもので、非現実的な高すぎる目標はNGだが、成長を促すものでなければいけないという考え方があります。
しかし、ここは5年の目標設定です。ある程度の非現実性を受け入れて、その目標を達成したら喜べるのか、楽しいのか、充実感を得られるのか、そういったことを優先することでよいと考えられます。
1-2-2.重要成功要因(テーマ)
重要成功要因は5年間のテーマとも言えるもので、「この5年で何を実現したら、成功と言えるのか?」というものです。前述の目標設定とはセットで考えられることになります。
5年間の重要成功要因(テーマ)をいくつ持つのかについては明確な定義はないと考えられますが、通常3つ~5つが適切であると考えられます。それ以上のテーマを持っても実際には多すぎて取り組むことができず、また、3つ~5つのテーマを成功することができれば、十分に成功したと感じることができます。
1-2-3.想定行動
5年間の目標達成のためや、テーマに取り組むためのおおまかな行動を想定していきます。あくまでも想定であり、5年という長い期間中に様々なことが変わりますので、最初に掲げた想定行動をやらなければいけないわけではありません。あくまでも現時点で想定できる行動を考えていきます。
2.経営戦略の立案方法
ここまでは経営戦略とは何かについて記載をしてきましたが、ここからは経営戦略の立案方法について記載をしていきます。経営戦略の立案方法にはいくつかの方法があるとされていますが、ここでは最もオーソドックスな方法の1つである、SWOT分析を活用する方法を記載していきます。
また、経営戦略を立案する手順としては、重要成功要因(テーマ)の設定 → 目標設定 → 想定行動の設定 となります。ここでは特に、重要成功要因(テーマ)をどのようにして設定していくかについて記載をしていきます。
2-1.重要成功要因(テーマ)の設定
ここでは重要成功要因(テーマ)を、SWOT分析を活用して設定する方法を記載していきます。
2-1-1.強み(S)・弱み(W)の分析
経営戦略は自由度をもって考えてよいとは言っても、現在行っている仕事とまったくもって関係のない仕事を行うのかというと、多くの場合はそうではありません。現在行っている仕事を何かしら活かしたり、変えたりしていくことは十分に想定されます。
また、いかに自分たちがやりたい仕事であると言って新しい領域のテーマや目標を打ち出したとしても、多くの場合その領域にはすでに何年もその場所を主戦場として仕事をしている企業が存在しています。その人たちが築き上げてきた経験やノウハウと戦うことを想定すると、5年という期間では太刀打ちができないことも容易に想像ができたりもします。
経営戦略を考えるにおいて重要なことの1つは、5年後にその仕事をやりたいのかどうか?と共に、考えている領域で1番になれる可能性があるのか?ということです。
そのためには、今まで自社が築き上げてきた強みを棚卸し、再認識、再定義していくことが必要になります。5年後の仕事においてこの強みを活かすことができれば(そして本当にそれが強みであるならば)、そこでは1番になれる可能性も出てきます。
そして、5年という期間を考えると、強みと共に、むしろそれよりも重要と言えるものは、現在の弱みです。今年の成果を出そうと思った時には、強みを活かし、弱みは隠して戦うことが得策でしょう。しかし、5年という時間は弱みを強みに変えるに十分な期間でもあります。
別の見方をすると、現在の強みをもって仕事をしているので、現在の結果が出ていると言えます。強みをさらに強くすることは、市場のキャパシティの問題や伸びしろの問題から実はそれほど簡単ではなく、弱みを強みに変えることができれば、ここは大きな伸びしろが存在しています。
現在の強みに加え、5年の間にいくつかの弱みを強みにまで変えることができれば、かなり多くのことができる可能性が見えてきたりします。
弱みを強みに変える活動がそのまま重要成功要因(テーマ)になることも多くあります。弱みを強みに変えることはやはり簡単ではありません。それゆえに重要成功要因は数多く設定することができないとも言えます。
2-1-2.機会(O)・脅威(T)の分析
自社の強みや弱みは社内のことになりますが、この機会・脅威というのは社外の環境のことを指しています。自社の強みを活かし、弱いところを強くしただけでは5年後に成功できるとは限らず、その時に会社が置かれている環境が、その時の強みを活かすことができる環境であることが必要です。
特に現在は以前に比べて、ビジネスのスピードが速くなっていると言われています。インターネットの出現からのIT技術の進歩によって、業界消滅という現象も数多く起きています。
自社の強みを活かし、弱みを強みに変えたとしても、それを活かすべき市場やビジネス環境が存在しなければ、その強みはまったくもって無意味になります。自社にとって、5年間における市場の機会(チャンス)はどういったものがあり、脅威(ピンチ)はどういったものがあるのかを無視することはできません。
SWOT分析を行うと、自社の強み・弱みに比べて、機会・脅威にリストアップされる個数は圧倒的に少なくなります。自社のことは自分たちのことなのでよく分かるのですが、こと市場や環境のこととなると、とたんに情報量や考えることができる量が減少します。
しかし、それでもリストアップしないよりは行った方が有効と言えます。機会や脅威のリストアップを十分にできなくても、自社が5年後にどのような環境に置かれているのかを想定することを頑張って行っていきます。
2-1-3.強み・弱みと機会・脅威を掛け合わせて重要成功要因(テーマ)を抽出する
4つの領域をリストアップできたら、強み・弱みと機会・脅威を掛け合わせて重要成功要因(テーマ)を抽出します。強みをさらに強くする内容、弱みを強みに変えるという内容が重要成功要因(テーマ)となることが多いですが、そのテーマが機会に沿っているのか?そして、脅威とされる状態が発生してその強みが活きない状態になったときはどうするのか?を合わせて想定しておく必要があります。
2-2.目標設定
重要成功要因(テーマ)が設定できたら、そのテーマごとに目標設定を行っていきます。5年間の目標設定は、定量的なものができればそれがよいですが、数字ではない定性的な目標設定でもよいとする場合も多いです。
2-3.想定行動の設定
それぞれのテーマに対して、おおまかな行動を想定していきます。その行動を行うとそのテーマに対する目標が実現できるのか?明確でなくてもある程度のイメージが持てればよいでしょう。ここまで行うことができたら、経営戦略は完成です。
3.まとめ
「経営戦略を立案する」として向こう5年の重要成功要因(テーマ)、目標、想定行動をSWOT分析を活用して設定する方法を記載しました。
経営理念やビジョンと共に、この経営戦略という領域も経営者が頭の中で1人で考えて持っているという企業が多く存在します。それをこのような方法を使い明文化・共有化することは絶大な効果があります。ぜひ取り組んで頂ければと思います。